昔は金儲けがしたくてたまらなかったのにな
仕事は一度引退したのだけれど、結局なんだかんだで暇で仕事を始めてしまっている。
幸い、お声掛けはたくさんいただいたのだが、
金はあるのだから世の中のためになることをしよう、と思い、
利益は3の次にした事業をまた自ら始めたのだ。
しかし無欲の勝利、というのだろうか、意外に利益がちゃんと出てしまって、
「昔はあんなに稼ぐのが大変だったのに、これは一体なんなんだろう」
と虚しさが胸に飛来する日々である。
金があるところに金は集まる。
とはよくいったもので、こんなにボロい経済システムにいつからなったのだろうか、と思うくらい逆に虚しい。
バーで酒を飲んでいても、
「これはいつ稼いだ金で飲んでいるのか?」
つい自問自答をしてしまう。
あの若かりし日に、汗水たらして徹夜して、そうやって稼いだ金の貯蓄なのか、
昨日「200万でいいですか?」の一言で入金された金で飲んでいるのか。
お金は一緒だが、それによって酒の味は違うのだ。
ただ、やはり社員、つまりチームを携えているのは楽しい。
久しく一人で遊んでいたので、皆で何かをやる、というのはやはり楽しいのだ。
日々の雑談とか、若い奴らの(と言ってもディレクタークラスだが)葛藤を見るのは楽しい。
金を稼ぐのが好きなんだろう。
だからどこかで”生理現象”として金を最低限稼ごうとしてしまう。
そして意識して儲けないようにしている自分に気づいて
「それもまた違う」と自問自答する。
楽しく無いわけじゃない。
誰かのためになっているとも思う。
ただ自分のスタンスの居心地の悪さに戸惑っているのだ。
解決策はきっと無い。
唯一あるとしたら
それは家族だったんじゃないかと、
ふと思うことはある。